母の遺産相続。二次相続のために出来る事とは何か?
2年前に父が急逝。
その後間もなく母もがんで帰らぬ人となってしまいました。
相続の中でも最悪の、二次相続が起こってしまったのです。
二次相続の開始
父が亡くなった際に始まる通常の遺産相続(一次相続)を行った後に、残された母も亡くなったケースで、子供だけで行われる母の相続が二次相続にあたります。
この二次相続の何が恐ろしいかというと、
・配偶者の税軽減制度が使えない
・相続人が1人減るので、基礎控除部分が少なくなるため、相続税の課税額があがる
という点です。
うちの場合は父の財産をほとんど母が相続してしまったため、父の遺産+母が持っていた資産に、まるまる課税されてしまうのです。
基礎控除の計算式を思い出してみてください。
3000万円+(600万円×法定相続人の人数)
父の相続の時には4800万円だった基礎控除の枠が、母が亡くなったことにより、3000万円+1200万円で4200万円になり、600万円減ってしまうことになります。
特に痛いのが配偶者の租税軽減制度が使えないことですね。
子供だけの相続の場合、基本的に基礎控除以上の遺産にまるまる課税されてしまいます。
一応、二次相続対策として、年間110万円の贈与を母から受けていましたが、亡くなる三年以内前の贈与は課税されてしまいます。そのため、私と妹へ行われた暦年贈与は課税対象になってしまいました。
ただし、この場合、被相続人(亡くなった人、この場合は母ですね)から孫への贈与は課税されません。
何故なら孫は相続人ではないため、相続の対象にならないからです。
同じ理由で、子の配偶者や他人に贈与した場合も課税されません(110万円を超えていた場合や贈与契約書がない場合は非課税と認めてもらえないので、課税されてしまいます。)
※子の配偶者や他人に贈与した場合は、税務署よりそちらの方へ贈与税の支払いの連絡がいく可能性がありますので、相続税対策にはなりませんね。
母が行っていた相続税対策
うちの場合は、私の娘に110万円×2回分、暦年贈与を行ってもらっていたのでその分は非課税となりました。
また、この他にも教育資金の一括贈与の特例を利用し、娘に教育資金の贈与をしてもらった1500万円も非課税になりました。
逆に言えば、それ以外の財産・贈与は全て課税対象になり、最終的に市街地にマンションを買えるくらいの金額を相続税として納税する羽目になりました。
相続する資産が、不動産は無く、ほとんどが金融資産だったのがせめてもの救いです(金額が大きかったので、遺産から相続税を支払う必要があったため)
税務調査は回避できるか?
たとえば税務調査が来たとして、父からの贈与・母からの贈与をもらっていない、これは自分が貯めたお金だ、などと言い張り、贈与の事実を認めず税務調査をやり過ごすことは出来るのでしょうか?
不可能です。
税務署もプロですので確信を持った案件でしか税務調査に来ないと思います。
実際にわたしのところに来た税務署職員も、「贈与で上に決裁取ってしまっているので…」とにべつくまもなし、という感じでした。
ここでしらばっくれても、結局裁判所に持ち込まれて強制執行→課税の流れになる、と税理士さんにもいわれましたので、父の生前贈与時のお金は、泣く泣く相続税+滞納税を追納しました。
また、父の時に申告をしてくれた税理士さんには辞めてもらい、相続専門の税理士さんを雇いました。
相続金額が大きい場合には、やはりちゃんと相続専門の税理士さんを雇った方が良いと思います。
過去十年分の預金口座をきちんと全て精査して、指摘されそうな箇所を潰してくれるので、非常に楽でした。
母が亡くなってまだ1年程度なので、まだ税務調査が来ないと決まったわけではありませんが、税理士さんが申告漏れのないよう全て口座を洗い出してくれたので、来たとしてもそこまで不安はありません。
ちなみに、金融資産を相続した場合、相続してから三年以内であれば、確定申告で損益通算をする事が可能です。
(※2021年6月追記 税務調査は来ませんでした。高い税理士代を払った甲斐がありました)
うちの場合は母が主婦だったため、父の名義預金(父が母の名前だけ借りて自分の預金をしていること、この場合父の財産・贈与となり贈与税or相続税の課税対象になる)を税務調査で指摘されましたが、同様の事案はよくあるようです。
結婚して家計が一緒になり、二人で貯めた預金も、奥さんが専業主婦で収入が無かった場合などは、旦那さんが亡くなった時に、旦那さんの名義預金ではないのか?と指摘される可能性があるということです。
2度の相続を経験して、二度と経験したくはないと思いましたが、色々と勉強になることもありました。
自分の子供への贈与についても、気を付けていきたいと思います。
相続対策でとにかく大事なのは、暦年贈与で年間110万円までを贈与すること(きちんと贈与契約書をつくること)だと思います。
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